校異源氏物語 powerd by Gatsby CETEIcean
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校異源氏物語・夢のうきはし
池田亀鑑
Transcription
Misa Nakamura
Transcription
Michi Kigoshi
Transcription
Takashi Tamura
TEI Encoding
Satoru Nakamura
Advisor
Kiyonori Nagasaki
デジタル源氏物語
2020年08月22日
CC0 1.0 Universal (CC0 1.0) Public Domain Dedication
池田亀鑑
校異源氏物語
中央公論社
旧字は
史料編纂所データベース異体字同定一覧
を用いて新字に変換した。
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やまにおはしてれいせさせ給やうに経仏なとくやうせさせ給又の日はよかはに
やまにおはしてれいせさせ給やうに経仏なとくやうせさせ給又の日はよかはに
おはしたれはそうつおとろきかしこまりきこえ給としころ御いのりなとつけか
おはしたれはそうつおとろきかしこまりきこえ給としころ御いのりなとつけか
たらひたまひけれとことにいとしたしきことはなかりけるをこのたひ一品の宮
たらひたまひけれとことにいとしたしきことはなかりけるをこのたひ一品の宮
の御心ちのほとにさふらひ給へるにすくれたまへるけん物し給けりとみたまひ
の御心ちのほとにさふらひ給へるにすくれたまへるけん物し給けりとみたまひ
てよりこよなうたうとひたまひていますこしふかきちきりくはへ給てけれはお
てよりこよなうたうとひたまひていますこしふかきちきりくはへ給てけれはお
も〱しくおはするとのゝかくわさとおはしましたることゝもてさはきゝこえ
も〱しくおはするとのゝかくわさとおはしましたることゝもてさはきゝこえ
給御物かたりなとこまやかにしておはすれは御ゆつけなとまいり給すこし人
給御物かたりなとこまやかにしておはすれは御ゆつけなとまいり給すこし人
〱しつまりぬるにをのゝわたりにしり給へるやとりや侍とゝひ給へはしか侍
〱しつまりぬるにをのゝわたりにしり給へるやとりや侍とゝひ給へはしか侍
いとことやうなるところになんなにかしかはゝなるくちあまの侍を京にはか
いとことやうなるところになんなにかしかはゝなるくちあまの侍を京にはか
〱しからぬすみかもはへらぬうちにかくてこもり侍あひたは夜中あか月にも
〱しからぬすみかもはへらぬうちにかくてこもり侍あひたは夜中あか月にも
あひとふらはんとおもひたまへをきて侍なと申給そのわたりにはたゝちかきこ
あひとふらはんとおもひたまへをきて侍なと申給そのわたりにはたゝちかきこ
ろをひまて人おほうすみ侍けるをいまはいとかすかにこそなりゆくめれなとの
ろをひまて人おほうすみ侍けるをいまはいとかすかにこそなりゆくめれなとの
給ていますこしちかうゐよりてしのひやかにいとうきたる心ちもしはへる又た
給ていますこしちかうゐよりてしのひやかにいとうきたる心ちもしはへる又た
つねきこえんにつけてはいかなりけることにかと心えすおほされぬへきにかた
つねきこえんにつけてはいかなりけることにかと心えすおほされぬへきにかた
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〱はゝかられ侍れとかの山さとにしるへき人のかくろへて侍るやうにきゝ侍
〱はゝかられ侍れとかの山さとにしるへき人のかくろへて侍るやうにきゝ侍
しをたしかにこそはいかなるさまにてなともゝらしきこえめなとおもひたまふ
しをたしかにこそはいかなるさまにてなともゝらしきこえめなとおもひたまふ
るほとに御てしになりていむことなとさつけ給てけりときゝ侍れはまことかま
るほとに御てしになりていむことなとさつけ給てけりときゝ侍れはまことかま
たとしもわかくおやなともありし人なれはこゝにうしなひたるやうにかことか
たとしもわかくおやなともありし人なれはこゝにうしなひたるやうにかことか
くる人なん侍をなとの給そうつされはよたゝ人とみえさりし人のさまそかしか
くる人なん侍をなとの給そうつされはよたゝ人とみえさりし人のさまそかしか
くまての給はかろ〱しくはおほされさりける人にこそあめれとおもふにほう
くまての給はかろ〱しくはおほされさりける人にこそあめれとおもふにほう
しといひなから心もなくたちまちにかたちをやつしてけることゝむねつふれて
しといひなから心もなくたちまちにかたちをやつしてけることゝむねつふれて
いらへきこえんやうおもひまはさるたしかにきゝ給へるにこそあめれかはかり
いらへきこえんやうおもひまはさるたしかにきゝ給へるにこそあめれかはかり
心え給てうかゝひたつねたまはんにかくれあるへきことにもあらす中〱あら
心え給てうかゝひたつねたまはんにかくれあるへきことにもあらす中〱あら
かひかくさんにあいなかるへしなとゝはかり思えていかなることにか侍けんこ
かひかくさんにあいなかるへしなとゝはかり思えていかなることにか侍けんこ
の月ころうち〱にあやしみおもふたまふる人の御ことにやとてかしこに侍あ
の月ころうち〱にあやしみおもふたまふる人の御ことにやとてかしこに侍あ
まとものはつせにくわん侍てまうてゝかへりけるみちにうちの院といふ所にと
まとものはつせにくわん侍てまうてゝかへりけるみちにうちの院といふ所にと
ゝまりて侍けるにはゝのあまのらうけにわかにおこりていたくなんわつらふと
ゝまりて侍けるにはゝのあまのらうけにわかにおこりていたくなんわつらふと
つけに人のまうてきたりしかはまかりむかひたりしにもまつあやしきことなん
つけに人のまうてきたりしかはまかりむかひたりしにもまつあやしきことなん
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とさゝめきておやのしにかへるをはさしをきてもてあつかひなけきてなん侍り
とさゝめきておやのしにかへるをはさしをきてもてあつかひなけきてなん侍り
しこの人もなくなりたまへるさまなからさすかにいきかよひておはしけれはむ
しこの人もなくなりたまへるさまなからさすかにいきかよひておはしけれはむ
かし物かたりにたまとのにをきたりけん人のたとひをおもひいてゝさやうなる
かし物かたりにたまとのにをきたりけん人のたとひをおもひいてゝさやうなる
ことにやとめつらしかり侍て弟子はらの中にけんある物ともをよひよせつゝか
ことにやとめつらしかり侍て弟子はらの中にけんある物ともをよひよせつゝか
はり〱にかちせさせなとなんし侍けるなにかしはおしむへきよはひならねと
はり〱にかちせさせなとなんし侍けるなにかしはおしむへきよはひならねと
はゝのたひのそらにてやまひをもきをたすけて念仏をも心みたれすせさせんと
はゝのたひのそらにてやまひをもきをたすけて念仏をも心みたれすせさせんと
ほとけをねんしたてまつりおもふ給へしほとにその人のありさまくはしくもみ
ほとけをねんしたてまつりおもふ給へしほとにその人のありさまくはしくもみ
たまへすなん侍しことの心をしはかり思たまふるにてんくこたまなとやうの物
たまへすなん侍しことの心をしはかり思たまふるにてんくこたまなとやうの物
ゝあさむきいてたてまつりたりけるにやとなんうけたまはりしたすけて京にゐ
ゝあさむきいてたてまつりたりけるにやとなんうけたまはりしたすけて京にゐ
てたてまつりてのちも三月はかりはなき人にてなんものしたまひけるをなにか
てたてまつりてのちも三月はかりはなき人にてなんものしたまひけるをなにか
しかいもうとこゑもんのかみのきたのかたにて侍しかあまになりて侍なんひと
しかいもうとこゑもんのかみのきたのかたにて侍しかあまになりて侍なんひと
りもちて侍し女こをうしなひてのち月日はおほくへたて侍しかとかなしひたえ
りもちて侍し女こをうしなひてのち月日はおほくへたて侍しかとかなしひたえ
すなけきおもひ給へ侍におなしとしのほとゝみゆる人のかくかたちいとうるわ
すなけきおもひ給へ侍におなしとしのほとゝみゆる人のかくかたちいとうるわ
しくきよらなるをみいてたてまつりてくわんをんのたまへるとよろこひおもひ
しくきよらなるをみいてたてまつりてくわんをんのたまへるとよろこひおもひ
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てこの人いたつらになしたてまつらしとまとひいられてなく〱いみしきこと
てこの人いたつらになしたてまつらしとまとひいられてなく〱いみしきこと
ゝもを申されしかはのちになんかのさかもとに身つからおり侍りてこしむなと
ゝもを申されしかはのちになんかのさかもとに身つからおり侍りてこしむなと
つかまつりしにやう〱いきいてゝ人となりたまへりけれと猶このらうしたり
つかまつりしにやう〱いきいてゝ人となりたまへりけれと猶このらうしたり
ける物の身にはなれぬ心ちなんするこのあしきものさまたけをのかれてのちの
ける物の身にはなれぬ心ちなんするこのあしきものさまたけをのかれてのちの
よをおもはんなとかなしけにのたまふことゝものはへしかはほうしにてはすゝ
よをおもはんなとかなしけにのたまふことゝものはへしかはほうしにてはすゝ
めも申つへきことにこそはとてまことにすけせしめたてまつりてしに侍さらに
めも申つへきことにこそはとてまことにすけせしめたてまつりてしに侍さらに
しろしめすへきことゝはいかてかはそらにさとり侍らむめつらしきことのさま
しろしめすへきことゝはいかてかはそらにさとり侍らむめつらしきことのさま
にもあるをよかたりにもし侍ぬへかりしかときこえありてわつらはしかるへき
にもあるをよかたりにもし侍ぬへかりしかときこえありてわつらはしかるへき
ことにもこそとこのおい人とものとかく申てこの月ころをとなくて侍つるにな
ことにもこそとこのおい人とものとかく申てこの月ころをとなくて侍つるにな
と申たまへはさてこそあなれとほのきゝてかくまてもとひいてたまへることな
と申たまへはさてこそあなれとほのきゝてかくまてもとひいてたまへることな
れとむけになき人とおもひはてにし人をさはまことにあるにこそはとおほすほ
れとむけになき人とおもひはてにし人をさはまことにあるにこそはとおほすほ
とゆめの心ちしてあさましけれはつゝみもあへすなみたくまれ給ひぬるをそう
とゆめの心ちしてあさましけれはつゝみもあへすなみたくまれ給ひぬるをそう
つのはつかしけなるにかくまてみゆへきことかはとおもひかへしてつれなくも
つのはつかしけなるにかくまてみゆへきことかはとおもひかへしてつれなくも
てなしたまへとかくおほしけることをこの世にはなき人とおなしやうになした
てなしたまへとかくおほしけることをこの世にはなき人とおなしやうになした
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ることゝあやまちしたる心ちしてつみふかけれはあしきものにらうせられ給け
ることゝあやまちしたる心ちしてつみふかけれはあしきものにらうせられ給け
んもさるへきさきのよのちきりなりおもふにたかきいゑのこにこそものし給け
んもさるへきさきのよのちきりなりおもふにたかきいゑのこにこそものし給け
めいかなるあやまりにてかくまてはふれ給けんにかとゝひ申給へはなまわかむ
めいかなるあやまりにてかくまてはふれ給けんにかとゝひ申給へはなまわかむ
とほりなといふへきすちにやありけんこゝにもゝとよりわさとおもひしことに
とほりなといふへきすちにやありけんこゝにもゝとよりわさとおもひしことに
も侍らす物はかなくてみつけそめて侍しかと又いとかくまておちあふるへきゝ
も侍らす物はかなくてみつけそめて侍しかと又いとかくまておちあふるへきゝ
はとは思たまへさりしをめつらかにあともなくきえうせにしかは身をなけたる
はとは思たまへさりしをめつらかにあともなくきえうせにしかは身をなけたる
にやなとさま〱にうたかひおほくてたしかなることはえきゝ侍らさりつるに
にやなとさま〱にうたかひおほくてたしかなることはえきゝ侍らさりつるに
なんつみかろめて物すなれはいとよしと心やすくなん身つからはおもひ給へな
なんつみかろめて物すなれはいとよしと心やすくなん身つからはおもひ給へな
りぬるをはゝなる人なんいみしくこひかなしふなるをかくなんきゝいてたると
りぬるをはゝなる人なんいみしくこひかなしふなるをかくなんきゝいてたると
つけしらせまほしくはへれと月ころかくさせ給けるほいたかふやうにものさは
つけしらせまほしくはへれと月ころかくさせ給けるほいたかふやうにものさは
かしくや侍らむおやこの中のおもひたえすかなしひにたへてとふらひものしな
かしくや侍らむおやこの中のおもひたえすかなしひにたへてとふらひものしな
とし侍なんかしなとのたまひてさていとひんなきしるへとはおほすともかのさ
とし侍なんかしなとのたまひてさていとひんなきしるへとはおほすともかのさ
かもとにおりたまへかはかりきゝてなのめにおもひすくすへくは思ひ侍らさり
かもとにおりたまへかはかりきゝてなのめにおもひすくすへくは思ひ侍らさり
し人なるをゆめのやうなることゝもゝいまたにかたりあはせんとなんおもひた
し人なるをゆめのやうなることゝもゝいまたにかたりあはせんとなんおもひた
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まふるとの給けしきいとあはれと思たまへれはかたちをかへよをそむきにきと
まふるとの給けしきいとあはれと思たまへれはかたちをかへよをそむきにきと
おほえたれとかみひけをそりたるほうしたにあやしき心はうせぬもあなりまし
おほえたれとかみひけをそりたるほうしたにあやしき心はうせぬもあなりまし
て女の御身はいかゝあらんいとおしくつみえぬへきわさにもあるへきかなとあ
て女の御身はいかゝあらんいとおしくつみえぬへきわさにもあるへきかなとあ
ちきなく心みたれぬまかりおりむことけふあすはさはり侍月たちてのほとに御
ちきなく心みたれぬまかりおりむことけふあすはさはり侍月たちてのほとに御
せうそこを申させ侍らんと申給いと心もとなけれと猶〻とうちつけにいられん
せうそこを申させ侍らんと申給いと心もとなけれと猶〻とうちつけにいられん
もさまあしけれはさらはとてかへり給かのせうとのわらは御ともにゐておはし
もさまあしけれはさらはとてかへり給かのせうとのわらは御ともにゐておはし
たりけりことはらからともよりはかたちもきよけなるをよひいて給てこれなん
たりけりことはらからともよりはかたちもきよけなるをよひいて給てこれなん
その人のちかきゆかりなるをこれをかつ〱物せん御ふみひとくたり給へその
その人のちかきゆかりなるをこれをかつ〱物せん御ふみひとくたり給へその
人とはなくてたゝたつねきこゆるひとなんあるとはかりの心をしらせ給へとの
人とはなくてたゝたつねきこゆるひとなんあるとはかりの心をしらせ給へとの
たまへはなにかしこのしるへにてかならすつみえ侍なんことのありさまくはし
たまへはなにかしこのしるへにてかならすつみえ侍なんことのありさまくはし
くとり申ついまは御身つからたちよらせ給てあるへからむことはものせさせ給
くとり申ついまは御身つからたちよらせ給てあるへからむことはものせさせ給
はんになにのとかゝ侍らむと申給へはうちわらひてつみえぬへきしるへとおも
はんになにのとかゝ侍らむと申給へはうちわらひてつみえぬへきしるへとおも
ひなし給らんこそはつかしけれこゝにはそくのかたちにていまゝてすくすなん
ひなし給らんこそはつかしけれこゝにはそくのかたちにていまゝてすくすなん
いとあやしきいはけなかりしよりおもふ心さしふかく侍を三条の宮の心ほそけ
いとあやしきいはけなかりしよりおもふ心さしふかく侍を三条の宮の心ほそけ
Page 2061
にてたのもしけなき身ひとつをよすかにおほしたるかさりかたきほたしにおほ
にてたのもしけなき身ひとつをよすかにおほしたるかさりかたきほたしにおほ
えはへりてかゝつらひ侍つるほとにをのつからくらひなといふ事もたかくなり
えはへりてかゝつらひ侍つるほとにをのつからくらひなといふ事もたかくなり
身のをきても心にかなひかたくなとしておもひなからすき侍には又えさらぬこ
身のをきても心にかなひかたくなとしておもひなからすき侍には又えさらぬこ
ともかすのみそひつゝすくせとおほやけわたくしにのかれかたきことにつけて
ともかすのみそひつゝすくせとおほやけわたくしにのかれかたきことにつけて
こそさも侍さらめさらてはほとけのせいし給かたのことをわつかにもきゝをよ
こそさも侍さらめさらてはほとけのせいし給かたのことをわつかにもきゝをよ
はんことはいかてあやまたしとつゝしみて心のうちはひしりにおとり侍らぬ物
はんことはいかてあやまたしとつゝしみて心のうちはひしりにおとり侍らぬ物
をましていとはかなきことにつけてしもをもきつみうへきことはなにとてかお
をましていとはかなきことにつけてしもをもきつみうへきことはなにとてかお
もひたまへんさらにあるましき事に侍りうたかひおほすましたゝいとおしきお
もひたまへんさらにあるましき事に侍りうたかひおほすましたゝいとおしきお
やの思ひなとをきゝあきらめはへらむはかりなんうれしう心やすかるへきなと
やの思ひなとをきゝあきらめはへらむはかりなんうれしう心やすかるへきなと
むかしよりふかゝりしかたの心はえをかたり給そうつもけにとうなつきていと
むかしよりふかゝりしかたの心はえをかたり給そうつもけにとうなつきていと
ゝたうときことなときこえ給ほとにひもくれぬれは中やとりもいとよかりぬへ
ゝたうときことなときこえ給ほとにひもくれぬれは中やとりもいとよかりぬへ
けれとうはのそらにてものしたらむこそなをひなかるへけれとおもひわつらひ
けれとうはのそらにてものしたらむこそなをひなかるへけれとおもひわつらひ
てかへりたまふにこのせうとのわらはをそうつめとめてほめたまふこれにつけ
てかへりたまふにこのせうとのわらはをそうつめとめてほめたまふこれにつけ
てまつほのめかし給へときこえ給へはふみかきてとらせ給時〱は山におはし
てまつほのめかし給へときこえ給へはふみかきてとらせ給時〱は山におはし
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てあそひ給へよとすゝろなるやうにはおほすましきゆへもありけりとうちかた
てあそひ給へよとすゝろなるやうにはおほすましきゆへもありけりとうちかた
らひ給このこは心もえねとふみとりて御ともにいつさかもとになれは御せんの
らひ給このこは心もえねとふみとりて御ともにいつさかもとになれは御せんの
人〱すこしたちあかれてしのひやかにをとの給をのにはいとふかくしけりた
人〱すこしたちあかれてしのひやかにをとの給をのにはいとふかくしけりた
るあをはのやまにむかひてまきるゝことなくやりみつのほたるはかりをむかし
るあをはのやまにむかひてまきるゝことなくやりみつのほたるはかりをむかし
おほゆるなくさめにてなかめゐ給へるにれいのはるかにみやらるゝたにのゝき
おほゆるなくさめにてなかめゐ給へるにれいのはるかにみやらるゝたにのゝき
はよりさき心ことにをひていとおほくともしたる火のゝとかならぬひかりをみ
はよりさき心ことにをひていとおほくともしたる火のゝとかならぬひかりをみ
るとてあまきみたちもはしにいてゐたりたかおはするにかあらん御せんなとい
るとてあまきみたちもはしにいてゐたりたかおはするにかあらん御せんなとい
とおほくこそみゆれひるあなたにひきほしたてまつれたりつるかへり事に大将
とおほくこそみゆれひるあなたにひきほしたてまつれたりつるかへり事に大将
殿おはしましておほんあるしのことにはかにするをいとよきおりとこそありつ
殿おはしましておほんあるしのことにはかにするをいとよきおりとこそありつ
れ大将殿とはこの女二の宮の御をとこにやおはしつらむなといふもいとこのよ
れ大将殿とはこの女二の宮の御をとこにやおはしつらむなといふもいとこのよ
とほくゐ中ひにたりやまことにさにやあらん時〱かゝる山ちわけおはせしと
とほくゐ中ひにたりやまことにさにやあらん時〱かゝる山ちわけおはせしと
きいとしるかりしすいしんのこゑもうちつけにましりてきこゆる月日のすきゆ
きいとしるかりしすいしんのこゑもうちつけにましりてきこゆる月日のすきゆ
くまゝにむかしのことのかくおもひわすれぬもいまはなにゝすへきことそと心
くまゝにむかしのことのかくおもひわすれぬもいまはなにゝすへきことそと心
うけれはあみたほとけにおもひまきらはしていとゝものもいはてゐたりよかは
うけれはあみたほとけにおもひまきらはしていとゝものもいはてゐたりよかは
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にかよふ人のみなんこのわたりにはちかきたよりなりけるかの殿はこのこをや
にかよふ人のみなんこのわたりにはちかきたよりなりけるかの殿はこのこをや
かてやらむとおほしけれと人めおほくてひんなけれは殿にかへり給て又のひこ
かてやらむとおほしけれと人めおほくてひんなけれは殿にかへり給て又のひこ
とさらにそいたしたて給むつましくおほす人のこと〱しからぬ二三人をくり
とさらにそいたしたて給むつましくおほす人のこと〱しからぬ二三人をくり
にてむかしもつねにつかはしゝすいしんそへたまへり人きかぬまによひよせ給
にてむかしもつねにつかはしゝすいしんそへたまへり人きかぬまによひよせ給
てあこかうせにしいもうとのかほはおほゆやいまはよになき人とおもひはてに
てあこかうせにしいもうとのかほはおほゆやいまはよになき人とおもひはてに
しをいとたしかにこそものし給なれうとき人にはきかせしとおもふをいきてた
しをいとたしかにこそものし給なれうとき人にはきかせしとおもふをいきてた
つねよはゝにいまたしきにいふな中〱おとろきさはかんほとにしるましき人
つねよはゝにいまたしきにいふな中〱おとろきさはかんほとにしるましき人
もしりなんそのおやのみ思のいとおしさにこそかくもたつぬれとまたきにいと
もしりなんそのおやのみ思のいとおしさにこそかくもたつぬれとまたきにいと
くちかため給をおさなき心ちにもはらからはおほかれとこのきみのかたちをは
くちかため給をおさなき心ちにもはらからはおほかれとこのきみのかたちをは
にるものなしとおもひしみたりしにうせ給にけりときゝていとかなしとおもひ
にるものなしとおもひしみたりしにうせ給にけりときゝていとかなしとおもひ
わたるにかくのたまへはうれしきにもなみたのおつるをはつかしとおもひてを
わたるにかくのたまへはうれしきにもなみたのおつるをはつかしとおもひてを
ゝとあらゝかにきこえゐたりかしこにはまたつとめてそうつの御もとより夜部
ゝとあらゝかにきこえゐたりかしこにはまたつとめてそうつの御もとより夜部
大将とのゝ御つかひにてこきみやまうて給へりしことの心うけたまはりしにあ
大将とのゝ御つかひにてこきみやまうて給へりしことの心うけたまはりしにあ
ちきなくかへりておくし侍てなとひめ君にきこえ給へみつからきこえさすへき
ちきなくかへりておくし侍てなとひめ君にきこえ給へみつからきこえさすへき
Page 2064
こともおほかれとけふあすゝくしてさふらふへしとかき給へりこれはなに事そ
こともおほかれとけふあすゝくしてさふらふへしとかき給へりこれはなに事そ
とあま君おとろきてこなたへもわたりてみせたてまつり給へはおもてうちあか
とあま君おとろきてこなたへもわたりてみせたてまつり給へはおもてうちあか
みて物のきこえのあるにやとくるしう物かくしゝけるとうらみられんをおもひ
みて物のきこえのあるにやとくるしう物かくしゝけるとうらみられんをおもひ
つゝくるにいらへんかたなくてゐたまへるに猶のたまはせよ心うくおほしへた
つゝくるにいらへんかたなくてゐたまへるに猶のたまはせよ心うくおほしへた
つる事といみしくうらみてことの心をしらねはあわたゝしきまておもひたるほ
つる事といみしくうらみてことの心をしらねはあわたゝしきまておもひたるほ
とにやまよりそうつの御せうそこにてまいりたる人なんあるといひいれたりあ
とにやまよりそうつの御せうそこにてまいりたる人なんあるといひいれたりあ
やしけれとこれこそはさはたしかなる御せうそこならめとてこなたにといはせ
やしけれとこれこそはさはたしかなる御せうそこならめとてこなたにといはせ
たれはいときよけにしなやかなるわらはのえならすさうそきたるそあゆみきた
たれはいときよけにしなやかなるわらはのえならすさうそきたるそあゆみきた
るわらうたさしいてたれはすたれのもとについゐてかやうにてはさふらふまし
るわらうたさしいてたれはすたれのもとについゐてかやうにてはさふらふまし
くこそはそうつはの給しかといへはあまきみそいらへなとし給ふみとりいれて
くこそはそうつはの給しかといへはあまきみそいらへなとし給ふみとりいれて
みれはにうたうのひめきみの御かたにやまよりとてなかき給へりあらしなとあ
みれはにうたうのひめきみの御かたにやまよりとてなかき給へりあらしなとあ
らかふへきやうもなしいとはしたなくおほえていよ〱ひきいられて人にかほ
らかふへきやうもなしいとはしたなくおほえていよ〱ひきいられて人にかほ
もみあはせすつねにほこりかならす物したまふ人からなれといとうたて心うし
もみあはせすつねにほこりかならす物したまふ人からなれといとうたて心うし
なといひてそうつの御文みれはけさこゝに大将殿のものし給ておほんありさま
なといひてそうつの御文みれはけさこゝに大将殿のものし給ておほんありさま
Page 2065
たつねとひ給はしめよりありしやうくはしくきこえ侍ぬおほん心さしふかかり
たつねとひ給はしめよりありしやうくはしくきこえ侍ぬおほん心さしふかかり
ける御中をそむきてあやしき山かつの中に出家し給へることかへりては仏のせ
ける御中をそむきてあやしき山かつの中に出家し給へることかへりては仏のせ
めそふへきことなるをなんうけ給はりおとろき侍いかゝはせんもとの御ちきり
めそふへきことなるをなんうけ給はりおとろき侍いかゝはせんもとの御ちきり
あやまちたまはてあいしふのつみをはるかしきこえ給て一日のすけのくとくは
あやまちたまはてあいしふのつみをはるかしきこえ給て一日のすけのくとくは
ゝかりなき物なれは猶たのませたまへとなんこと〱には身つからさふらひて
ゝかりなき物なれは猶たのませたまへとなんこと〱には身つからさふらひて
申侍らんかつ〱このこきみきこえ給てんとかきたりまかうへうもあらすかき
申侍らんかつ〱このこきみきこえ給てんとかきたりまかうへうもあらすかき
あきらめ給へれとこと人は心もえすこのきみはたれにかおはすらんなをいと心
あきらめ給へれとこと人は心もえすこのきみはたれにかおはすらんなをいと心
うしいまさへかくあなかちにへたてさせ給とせめられてすこしとさまにむきて
うしいまさへかくあなかちにへたてさせ給とせめられてすこしとさまにむきて
みたまへはこのこはいまはとよをおもひなりしゆふくれにいまこひしとおもひ
みたまへはこのこはいまはとよをおもひなりしゆふくれにいまこひしとおもひ
し人なりけりおなし所にてみしほとはいとさかなくあやにくにおこりてにくか
し人なりけりおなし所にてみしほとはいとさかなくあやにくにおこりてにくか
りしかとはゝのいとかなしくして宇治にも時〱ゐておはせしかはすこしおよ
りしかとはゝのいとかなしくして宇治にも時〱ゐておはせしかはすこしおよ
すけしまゝにかたみにおもへりしわらは心をおもひいつるにゆめのやうなりま
すけしまゝにかたみにおもへりしわらは心をおもひいつるにゆめのやうなりま
つはゝのありさまいとゝはまほしくこと人〱のうへはをのつからきけとおや
つはゝのありさまいとゝはまほしくこと人〱のうへはをのつからきけとおや
のおはすらんやうはほのかにもえきかすかしと中〱これをみるにいとかなし
のおはすらんやうはほのかにもえきかすかしと中〱これをみるにいとかなし
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くてほろ〱となかれぬいとおかしけにてすこしうちおほえたまへる心ちもす
くてほろ〱となかれぬいとおかしけにてすこしうちおほえたまへる心ちもす
れはおほんはらからにこそおはすめれきこえまほしくおほす事もあらんうちに
れはおほんはらからにこそおはすめれきこえまほしくおほす事もあらんうちに
いれたてまつらんといふをなにかいまは世にある物ともおもはさらんにあやし
いれたてまつらんといふをなにかいまは世にある物ともおもはさらんにあやし
きさまにおもかはりしてふとみえんもはつかしとおもへはとはかりためらひて
きさまにおもかはりしてふとみえんもはつかしとおもへはとはかりためらひて
けにへたてありとおほしなすらむかくるしさに物もいはれてなんあさましかり
けにへたてありとおほしなすらむかくるしさに物もいはれてなんあさましかり
けんありさまはめつらかなることゝみ給てけんをさてうつし心もうせたましひ
けんありさまはめつらかなることゝみ給てけんをさてうつし心もうせたましひ
なといふらん物もあらぬさまになりにけるにやあらんいかにも〱すきにしか
なといふらん物もあらぬさまになりにけるにやあらんいかにも〱すきにしか
たのことを我なからさらにえおもひいてぬにきのかみとかありし人の世の物か
たのことを我なからさらにえおもひいてぬにきのかみとかありし人の世の物か
たりすめりし中になんみしあたりのことにやとほのかにおもひいてらるゝこと
たりすめりし中になんみしあたりのことにやとほのかにおもひいてらるゝこと
ある心ちせしそのゝちとさまかうさまにおもひつゝくれとさらにはか〱しく
ある心ちせしそのゝちとさまかうさまにおもひつゝくれとさらにはか〱しく
もおほえぬにたゝひとりものしたまへし人のいかてとをろかならすおもひため
もおほえぬにたゝひとりものしたまへし人のいかてとをろかならすおもひため
りしをまたやよにおはすらむとそれはかりなん心にはなれすかなしきおり〱
りしをまたやよにおはすらむとそれはかりなん心にはなれすかなしきおり〱
侍にけふみれはこのわらはのかほはちゐさくてみし心ちするにもいとしのひか
侍にけふみれはこのわらはのかほはちゐさくてみし心ちするにもいとしのひか
たけれといまさらにかゝる人にもありとはしられてやみなんとなん思侍かの人
たけれといまさらにかゝる人にもありとはしられてやみなんとなん思侍かの人
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もしよにものしたまはゝそれひとりになんたいめんせまほしくおもひ侍このそ
もしよにものしたまはゝそれひとりになんたいめんせまほしくおもひ侍このそ
うつのゝ給へる人なとにはさらにしられたてまつらしとこそおもひはへれかま
うつのゝ給へる人なとにはさらにしられたてまつらしとこそおもひはへれかま
へてひかことなりけりときこえなしてもてかくし給へとのたまへはいとかたき
へてひかことなりけりときこえなしてもてかくし給へとのたまへはいとかたき
ことかなそうつの御心はひしりといふなかにもあまりくまなくものしたまへは
ことかなそうつの御心はひしりといふなかにもあまりくまなくものしたまへは
いまさらにのこいてはきこえたまひてんやのちにかくれあらしなのめにかろ
いまさらにのこいてはきこえたまひてんやのちにかくれあらしなのめにかろ
〱しき御ほとにもおはしまさすなといひさはきてよにしらす心つよくおはし
〱しき御ほとにもおはしまさすなといひさはきてよにしらす心つよくおはし
ますこそとみないひあはせてもやのきはにき丁たてゝいれたりこのこもさはき
ますこそとみないひあはせてもやのきはにき丁たてゝいれたりこのこもさはき
ゝつれとおさなけれはふといひよらんもつゝましけれと又侍御文いかてたてま
ゝつれとおさなけれはふといひよらんもつゝましけれと又侍御文いかてたてま
つらんそうつの御しるへはたしかなるをかくおほつかなく侍こそとふしめにて
つらんそうつの御しるへはたしかなるをかくおほつかなく侍こそとふしめにて
いへはそゝやあなうつくしなといひて御文御らんすへき人はたゝにものせさせ
いへはそゝやあなうつくしなといひて御文御らんすへき人はたゝにものせさせ
給めりけさうの人なんいかなることにかと心えかたく侍を猶のたまはせよおさ
給めりけさうの人なんいかなることにかと心えかたく侍を猶のたまはせよおさ
なき御ほとなれとかゝる御しるへにたのみきこえ給やうもあらんなといへはお
なき御ほとなれとかゝる御しるへにたのみきこえ給やうもあらんなといへはお
ほしへたてておほ〱しくもてなさせ給にはなにことをかきこえ侍らむうとく
ほしへたてておほ〱しくもてなさせ給にはなにことをかきこえ侍らむうとく
おほしなりにけれはきこゆへきことも侍らすたゝこの御文を人つてならてたて
おほしなりにけれはきこゆへきことも侍らすたゝこの御文を人つてならてたて
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まつれとて侍つるいかてたてまつらんといへはいとことはりなり猶いとかくう
まつれとて侍つるいかてたてまつらんといへはいとことはりなり猶いとかくう
たておはせそさすかにむくつけき御心にこそときこえうこかしてき丁のもとに
たておはせそさすかにむくつけき御心にこそときこえうこかしてき丁のもとに
をしよせたてまつりたれはわれにもあらてゐたまへるけはひこと人にはにぬ心
をしよせたてまつりたれはわれにもあらてゐたまへるけはひこと人にはにぬ心
ちすれはそこもとによりてたてまつりつ御返とく給てまいりなんとかくうと
ちすれはそこもとによりてたてまつりつ御返とく給てまいりなんとかくうと
〱しきを心うしと思ていそくあま君御ふみひきときてみせたてまつるありし
〱しきを心うしと思ていそくあま君御ふみひきときてみせたてまつるありし
なからの御てにてかみのかなとれいのよつかぬまてしみたりほのかにみてれい
なからの御てにてかみのかなとれいのよつかぬまてしみたりほのかにみてれい
の物めてのさしすき人いとありかたくおかしとおもふへしさらにきこえんかた
の物めてのさしすき人いとありかたくおかしとおもふへしさらにきこえんかた
なくさま〱につみをもき御心をはそうつにおもひゆるしきこえていまはいか
なくさま〱につみをもき御心をはそうつにおもひゆるしきこえていまはいか
てかあさましかりしよの夢かたりをたにといそかるゝ心のわれなからもとかし
てかあさましかりしよの夢かたりをたにといそかるゝ心のわれなからもとかし
きになんましてひとめはいかにとかきもやり給はす
きになんましてひとめはいかにとかきもやり給はす
のりのしとたつぬるみちをしるへにておもはぬやまにふみまとふかなこの
のりのしとたつぬるみちをしるへにておもはぬやまにふみまとふかなこの
人はみやわすれたまひぬらむこゝにはゆくゑなき御かたみにみる物にてなんな
人はみやわすれたまひぬらむこゝにはゆくゑなき御かたみにみる物にてなんな
といとこまやかなりかくつふつふとかきたまへるさまのまきらはさんかたなき
といとこまやかなりかくつふつふとかきたまへるさまのまきらはさんかたなき
にさりとてそのひとにもあらぬさまをおもひのほかにみつけられきこえたらむ
にさりとてそのひとにもあらぬさまをおもひのほかにみつけられきこえたらむ
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ほとのはしたなさなとをおもひみたれていとゝはれ〱しからぬ心はいひやる
ほとのはしたなさなとをおもひみたれていとゝはれ〱しからぬ心はいひやる
へきかたもなしさすかにうちなきてひれふしたまへれはいとよつかぬ御ありさ
へきかたもなしさすかにうちなきてひれふしたまへれはいとよつかぬ御ありさ
まかなとみわつらひぬいかゝきこえんなとせめられて心ちのかきみたるやうに
まかなとみわつらひぬいかゝきこえんなとせめられて心ちのかきみたるやうに
し侍ほとためらひていまきこえんむかしのことおもひいつれとさらにおほゆる
し侍ほとためらひていまきこえんむかしのことおもひいつれとさらにおほゆる
こともなくあやしくいかなりけるゆめにかとのみ心もえすなんすこしゝつまり
こともなくあやしくいかなりけるゆめにかとのみ心もえすなんすこしゝつまり
てやこの御ふみなともみしらるゝ事もあらむけふはなをもてまいりたまひねと
てやこの御ふみなともみしらるゝ事もあらむけふはなをもてまいりたまひねと
ころたかへにもあらむにいとかたはらいたかるへしとてひろけなからあまきみ
ころたかへにもあらむにいとかたはらいたかるへしとてひろけなからあまきみ
にさしやりたまへれはいとみくるしき御事かなあまりけしからぬはみたてまつ
にさしやりたまへれはいとみくるしき御事かなあまりけしからぬはみたてまつ
る人もつみさりところなかるへしなといひさはくもうたてきゝにくゝおほゆれ
る人もつみさりところなかるへしなといひさはくもうたてきゝにくゝおほゆれ
はかほもひきいれてふしたまへりあるしそのこきみに物かたりすこしきこえて
はかほもひきいれてふしたまへりあるしそのこきみに物かたりすこしきこえて
ものゝけにやおはすらんれいのさまにみえ給おりなくなやみわたり給て御かた
ものゝけにやおはすらんれいのさまにみえ給おりなくなやみわたり給て御かた
ちもことになり給へるをたつねきこえ給人あらはいとわつらはしかるへきこと
ちもことになり給へるをたつねきこえ給人あらはいとわつらはしかるへきこと
ゝみたてまつりなけき侍しもしるくかくいとあはれに心くるしき御ことゝもの
ゝみたてまつりなけき侍しもしるくかくいとあはれに心くるしき御ことゝもの
侍けるをいまなんいとかたしけなく思ひ侍ひころもうちはへなやませ給めるを
侍けるをいまなんいとかたしけなく思ひ侍ひころもうちはへなやませ給めるを
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いとゝかゝることゝもにおほしみたるゝにやつねよりも物おほえさせ給はぬさ
いとゝかゝることゝもにおほしみたるゝにやつねよりも物おほえさせ給はぬさ
まにてなんときこゆところにつけておかしきあるしなとしたれとおさなき心ち
まにてなんときこゆところにつけておかしきあるしなとしたれとおさなき心ち
はそこはかとなくあはてたる心ちしてわさとたてまつれさせ給へるしるしにな
はそこはかとなくあはてたる心ちしてわさとたてまつれさせ給へるしるしにな
にことをかはきこえさせんとすらむたゝひとことをのたまはせよかしなといへ
にことをかはきこえさせんとすらむたゝひとことをのたまはせよかしなといへ
はけになといひてかくなむとうつしかたれともゝのもの給はねはかひなくてた
はけになといひてかくなむとうつしかたれともゝのもの給はねはかひなくてた
ゝかくおほつかなき御ありさまをきこえさせ給へきなめりくものはるかにへた
ゝかくおほつかなき御ありさまをきこえさせ給へきなめりくものはるかにへた
ゝらぬほとにも侍めるをやまかせふくとも又もかならすたちよらせ給なんかし
ゝらぬほとにも侍めるをやまかせふくとも又もかならすたちよらせ給なんかし
といへはすゝろにゐくらさむもあやしかるへけれはかへりなんとす人しれすゆ
といへはすゝろにゐくらさむもあやしかるへけれはかへりなんとす人しれすゆ
かしき御ありさまをもえみすなりぬるをおほつかなくゝちをしくて心ゆかすな
かしき御ありさまをもえみすなりぬるをおほつかなくゝちをしくて心ゆかすな
からまいりぬいつしかとまちおはするにかくたと〱しくてかへりきたれはす
からまいりぬいつしかとまちおはするにかくたと〱しくてかへりきたれはす
さましく中〱なりとおほすことさま〱にて人のかくしすへたるにやあらん
さましく中〱なりとおほすことさま〱にて人のかくしすへたるにやあらん
と我御心のおもひよらぬくまなくおとしをきたまへりしならひにとそ
と我御心のおもひよらぬくまなくおとしをきたまへりしならひにとそ