校異源氏物語 powerd by Gatsby CETEIcean
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校異源氏物語・よもきふ
池田亀鑑
Transcription
Misa Nakamura
Transcription
Michi Kigoshi
Transcription
Takashi Tamura
TEI Encoding
Satoru Nakamura
Advisor
Kiyonori Nagasaki
デジタル源氏物語
2020年08月22日
CC0 1.0 Universal (CC0 1.0) Public Domain Dedication
池田亀鑑
校異源氏物語
中央公論社
旧字は
史料編纂所データベース異体字同定一覧
を用いて新字に変換した。
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もしほたれつゝわひ給ひしころをひみやこにもさま〱におほしなけく人おほ
もしほたれつゝわひ給ひしころをひみやこにもさま〱におほしなけく人おほ
かりしをさてもわか御身のより所あるはひとかたの思ひこそくるしけなりしか
かりしをさてもわか御身のより所あるはひとかたの思ひこそくるしけなりしか
二条のうへなとものとやかにてたひの御すみかをもおほつかなからすきこえか
二条のうへなとものとやかにてたひの御すみかをもおほつかなからすきこえか
よひ給つゝくらゐをさりたまへるかりの御よそひをもたけのこのよのうきふし
よひ給つゝくらゐをさりたまへるかりの御よそひをもたけのこのよのうきふし
をとき〱につけてあつかひきこえ給ふになくさめ給けむなか〱そのかすと
をとき〱につけてあつかひきこえ給ふになくさめ給けむなか〱そのかすと
人にもしられすたちわかれ給ひしほとの御ありさまをもよその事に思ひやり給
人にもしられすたちわかれ給ひしほとの御ありさまをもよその事に思ひやり給
ふ人〱のしたの心くたき給たくひおほかりひたちの宮の君はちゝみこのうせ
ふ人〱のしたの心くたき給たくひおほかりひたちの宮の君はちゝみこのうせ
給ひにしなこりに又思ひあつかふ人もなき御身にていみしう心ほそけなりしを
給ひにしなこりに又思ひあつかふ人もなき御身にていみしう心ほそけなりしを
思かけぬ御事のいてきてとふらひきこえ給ことたえさりしをいかめしき御いき
思かけぬ御事のいてきてとふらひきこえ給ことたえさりしをいかめしき御いき
をいにこそことにもあらすはかなきほとの御なさけはかりとおほしたりしかと
をいにこそことにもあらすはかなきほとの御なさけはかりとおほしたりしかと
まちうけ給ふたもとのせはきにおほ空のほしのひかりをたらいの水にうつした
まちうけ給ふたもとのせはきにおほ空のほしのひかりをたらいの水にうつした
る心ちしてすくし給しほとにかゝるよのさはきいてきてなへてのようくをほし
る心ちしてすくし給しほとにかゝるよのさはきいてきてなへてのようくをほし
みたれしまきれにわさとふかゝらぬかたの心さしはうちわすれたるやうにてと
みたれしまきれにわさとふかゝらぬかたの心さしはうちわすれたるやうにてと
をくおはしましにしのちふりはへてしもえたつねきこえ給はすそのなこりにし
をくおはしましにしのちふりはへてしもえたつねきこえ給はすそのなこりにし
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は〱なく〱もすくし給しをとし月ふるまゝにあはれにさひしき御ありさま
は〱なく〱もすくし給しをとし月ふるまゝにあはれにさひしき御ありさま
なりふるき女はらなとはいてやいとくちをしき御すくせなりけりおほえす神ほ
なりふるき女はらなとはいてやいとくちをしき御すくせなりけりおほえす神ほ
とけのあらはれたまへらむやうなりし御心はへにかゝるよすかも人はいておは
とけのあらはれたまへらむやうなりし御心はへにかゝるよすかも人はいておは
するものなりけりとありかたうみたてまつりしをおほかたの世の事といひなか
するものなりけりとありかたうみたてまつりしをおほかたの世の事といひなか
らまたたのむかたなき御ありさまこそかなしけれとつふやきなけくさるかたに
らまたたのむかたなき御ありさまこそかなしけれとつふやきなけくさるかたに
ありつきたりしあなたのとしころはいふかひなきさひしさにめなれてすくし給
ありつきたりしあなたのとしころはいふかひなきさひしさにめなれてすくし給
をなか〱すこしよつきてならひにける年月にいとたへかたく思なけくへしす
をなか〱すこしよつきてならひにける年月にいとたへかたく思なけくへしす
こしもさてありぬへき人〱はをのつからまいりつきてありしをみなつき〱
こしもさてありぬへき人〱はをのつからまいりつきてありしをみなつき〱
にしたかひていきちりぬ女はらのいのちたえぬもありて月日にしたかひてはか
にしたかひていきちりぬ女はらのいのちたえぬもありて月日にしたかひてはか
みしも人かすすくなくなりゆくもとよりあれたりし宮のうちいとゝきつねのす
みしも人かすすくなくなりゆくもとよりあれたりし宮のうちいとゝきつねのす
みかになりてうとましうけとをき木たちにふくろうのこゑをあさゆふにみゝな
みかになりてうとましうけとをき木たちにふくろうのこゑをあさゆふにみゝな
らしつゝ人けにこそさやうのものもせかれてかけかくしけれこたまなとけしか
らしつゝ人けにこそさやうのものもせかれてかけかくしけれこたまなとけしか
らぬ物ともところえてやう〱かたちをあらはしものわひしき事のみかすしら
らぬ物ともところえてやう〱かたちをあらはしものわひしき事のみかすしら
ぬにまれ〱のこりてさふらふ人は猶いとわりなしこのす両とものおもしろき
ぬにまれ〱のこりてさふらふ人は猶いとわりなしこのす両とものおもしろき
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いゑつくりこのむかこの宮のこたちを心につけてはなち給はせてむやとほとり
いゑつくりこのむかこの宮のこたちを心につけてはなち給はせてむやとほとり
につきてあむなひし申さするをさやうにせさせ給ひていとかうものをそろしか
につきてあむなひし申さするをさやうにせさせ給ひていとかうものをそろしか
らぬ御すまひにおほしうつろはなむたちとまりさふらふ人もいとたへかたしな
らぬ御すまひにおほしうつろはなむたちとまりさふらふ人もいとたへかたしな
ときこゆれとあないみしや人のきゝおもはむこともありいけるよにしかなこり
ときこゆれとあないみしや人のきゝおもはむこともありいけるよにしかなこり
なきわさいかゝせむかくおそろしけにあれはてぬれとおやの御かけとまりたる
なきわさいかゝせむかくおそろしけにあれはてぬれとおやの御かけとまりたる
心ちするふるきすみかと思ふになくさみてこそあれとうちなきつゝおほしもか
心ちするふるきすみかと思ふになくさみてこそあれとうちなきつゝおほしもか
けす御てうとゝもをいとこたいになれたるかむかしやうにてうるはしきをなま
けす御てうとゝもをいとこたいになれたるかむかしやうにてうるはしきをなま
ものゝゆへしらむと思へる人さるものえうしてわさとそのひとかの人にせさせ
ものゝゆへしらむと思へる人さるものえうしてわさとそのひとかの人にせさせ
給へるとたつねきゝてあんないするもをのつからかゝるまつしきあたりとおも
給へるとたつねきゝてあんないするもをのつからかゝるまつしきあたりとおも
ひあなつりていひくるをれいの女はらいかゝはせんそこそはよのつねの事とて
ひあなつりていひくるをれいの女はらいかゝはせんそこそはよのつねの事とて
とりまきらはしつゝめにちかきけふあすのみくるしさをつくろはんとするとき
とりまきらはしつゝめにちかきけふあすのみくるしさをつくろはんとするとき
もあるをいみしういさめ給ひてみよとおもひ給ひてこそしおかせ給ひけめなと
もあるをいみしういさめ給ひてみよとおもひ給ひてこそしおかせ給ひけめなと
てかかろ〱しき人のいゑのかさりとはなさむなき人の御ほいたかはむかあは
てかかろ〱しき人のいゑのかさりとはなさむなき人の御ほいたかはむかあは
れなることゝのたまひてさるわさはせさせ給はすはかなきことにてもみとふら
れなることゝのたまひてさるわさはせさせ給はすはかなきことにてもみとふら
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ひきこゆる人はなき御身なりたゝ御せうとのせむしの君はかりそまれにも京に
ひきこゆる人はなき御身なりたゝ御せうとのせむしの君はかりそまれにも京に
いてたまふ時はさしのそき給へとそれもよになきふるめき人にておなしきほう
いてたまふ時はさしのそき給へとそれもよになきふるめき人にておなしきほう
しといふなかにもたつきなくこのよをはなれたるひしりにものし給てしけき草
しといふなかにもたつきなくこのよをはなれたるひしりにものし給てしけき草
よもきをたにかきはらはむものとも思ひより給はすかゝるまゝにあさちはには
よもきをたにかきはらはむものとも思ひより給はすかゝるまゝにあさちはには
のおもゝみえすしけきよもきはのきをあらそひておひのほるむくらはにしひむ
のおもゝみえすしけきよもきはのきをあらそひておひのほるむくらはにしひむ
かしのみかとをとちこめたるそたのもしけれとくつれかちなるめくりのかきを
かしのみかとをとちこめたるそたのもしけれとくつれかちなるめくりのかきを
むまうしなとのふみならしたるみちにてはる夏になれはゝなちかうあけまきの
むまうしなとのふみならしたるみちにてはる夏になれはゝなちかうあけまきの
心さへそめさましき八月野わきあらかりしとしらうともゝたうれふししものや
心さへそめさましき八月野わきあらかりしとしらうともゝたうれふししものや
とものはかなきいたふきなりしなとはほねのみわつかにのこりてたちとまるけ
とものはかなきいたふきなりしなとはほねのみわつかにのこりてたちとまるけ
すたになしけふりたえてあはれにいみしきことおほかりぬす人なといふひたふ
すたになしけふりたえてあはれにいみしきことおほかりぬす人なといふひたふ
る心あるものも思やりのさひしけれはにやこの宮をはふようのものにふみすき
る心あるものも思やりのさひしけれはにやこの宮をはふようのものにふみすき
てよりこさりけれはかくいみしきのらやふなれともさすかにしんてむのうちは
てよりこさりけれはかくいみしきのらやふなれともさすかにしんてむのうちは
かりはありし御しつらひかはらすつやゝかにかいはきなとする人もなしちりは
かりはありし御しつらひかはらすつやゝかにかいはきなとする人もなしちりは
つもれとまきるゝことなきうるはしき御すまひにてあかしくらし給ふはかなき
つもれとまきるゝことなきうるはしき御すまひにてあかしくらし給ふはかなき
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ふるうたものかたりなとやうのすさひ事にてこそつれ〱をもまきらはしかゝ
ふるうたものかたりなとやうのすさひ事にてこそつれ〱をもまきらはしかゝ
るすまひをもおもひなくさむるわさなめれさやうのことにも心をそくものした
るすまひをもおもひなくさむるわさなめれさやうのことにも心をそくものした
まふわさとこのましからねとをのつからまたいそくことなき程はおなし心なる
まふわさとこのましからねとをのつからまたいそくことなき程はおなし心なる
ふみかよはしなとうちしてこそわかき人はきくさにつけても心をなくさめたま
ふみかよはしなとうちしてこそわかき人はきくさにつけても心をなくさめたま
ふへけれとおやのもてかしつき給ひし御心をきてのまゝに世中をつゝましきも
ふへけれとおやのもてかしつき給ひし御心をきてのまゝに世中をつゝましきも
のにおほしてまれにもことかよひ給ふへき御あたりをもさらになれたまはすふ
のにおほしてまれにもことかよひ給ふへき御あたりをもさらになれたまはすふ
りにたるみつしあけてからもりはこやのとしかくやひめのものかたりのゑにか
りにたるみつしあけてからもりはこやのとしかくやひめのものかたりのゑにか
きたるをそとき〱のまさくりものにしたまふゝるうたとてもおかしきやうに
きたるをそとき〱のまさくりものにしたまふゝるうたとてもおかしきやうに
えりいてたいをもよみ人をもあらはし心えたるこそみところもありけれうるは
えりいてたいをもよみ人をもあらはし心えたるこそみところもありけれうるは
しきかむやかみゝちのくにかみなとのふくためるにふることゝものめなれたる
しきかむやかみゝちのくにかみなとのふくためるにふることゝものめなれたる
なとはいとすさましけなるをせめてなかめ給ふおり〱はひきひろけ給ふいま
なとはいとすさましけなるをせめてなかめ給ふおり〱はひきひろけ給ふいま
の世の人のすめるきやうゝちよみをこなひなといふことはいとはつかしくし給
の世の人のすめるきやうゝちよみをこなひなといふことはいとはつかしくし給
てみたてまつる人もなけれとすゝなとゝりよせ給はすかやうにうるはしくそも
てみたてまつる人もなけれとすゝなとゝりよせ給はすかやうにうるはしくそも
のし給ける侍従なといひし御めのとこのみこそとしころあくかれはてぬものに
のし給ける侍従なといひし御めのとこのみこそとしころあくかれはてぬものに
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てさふらひつれとかよひまいりし斎院うせ給ひなとしていとたえかたく心ほそ
てさふらひつれとかよひまいりし斎院うせ給ひなとしていとたえかたく心ほそ
きにこのひめきみのはゝきたのかたのはらからよにおちふれてす両のきたのか
きにこのひめきみのはゝきたのかたのはらからよにおちふれてす両のきたのか
たになり給へるありけりむすめともかしつきてよろしきわか人ともゝむけにし
たになり給へるありけりむすめともかしつきてよろしきわか人ともゝむけにし
らぬところよりはおやともゝまうてかよひしをと思てとき〱いきかよふこの
らぬところよりはおやともゝまうてかよひしをと思てとき〱いきかよふこの
ひめ君はかく人うとき御くせなれはむつましくもいひかよひ給はすをのれをは
ひめ君はかく人うとき御くせなれはむつましくもいひかよひ給はすをのれをは
おとしめ給ておもてふせにおほしたりしかはひめ君の御ありさまの心くるしけ
おとしめ給ておもてふせにおほしたりしかはひめ君の御ありさまの心くるしけ
なるもえとふらひきこえすなとなまにくけなることはともいひきかせつゝとき
なるもえとふらひきこえすなとなまにくけなることはともいひきかせつゝとき
〱きこえけりもとよりありつきたるさやうのなみ〱の人はなか〱よき人
〱きこえけりもとよりありつきたるさやうのなみ〱の人はなか〱よき人
のまねに心をつくろひ思ひあかるもおほかるをやむことなきすちなからもかう
のまねに心をつくろひ思ひあかるもおほかるをやむことなきすちなからもかう
まておつへきすくせありけれはにや心すこしなを〱しき御をはにそありける
まておつへきすくせありけれはにや心すこしなを〱しき御をはにそありける
わかかくおとりのさまにてあなつらはしくおもはれたりしをいかてかゝるよの
わかかくおとりのさまにてあなつらはしくおもはれたりしをいかてかゝるよの
すゑに此きみをわかむすめとものつかひ人になしてしかな心はせなとのふるひ
すゑに此きみをわかむすめとものつかひ人になしてしかな心はせなとのふるひ
たるかたこそあれいとうしろやすきうしろみならむと思てとき〱こゝにわた
たるかたこそあれいとうしろやすきうしろみならむと思てとき〱こゝにわた
らせ給て御ことのねもうけたまはらまほしかる人なむはへるときこえけり此侍
らせ給て御ことのねもうけたまはらまほしかる人なむはへるときこえけり此侍
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従もつねにいひもよをせと人にいとむ心にはあらてたゝこちたき御ものつゝみ
従もつねにいひもよをせと人にいとむ心にはあらてたゝこちたき御ものつゝみ
なれはさもむつひ給はぬをねたしとなむおもひけるかゝるほとにかのいへある
なれはさもむつひ給はぬをねたしとなむおもひけるかゝるほとにかのいへある
し大にゝなりぬむすめともあるへきさまにみをきてくたりなむとすこの君を猶
し大にゝなりぬむすめともあるへきさまにみをきてくたりなむとすこの君を猶
もいさなはむの心ふかくてはるかにかくまりなむとするに心ほそき御ありさま
もいさなはむの心ふかくてはるかにかくまりなむとするに心ほそき御ありさま
のつねにしもとふらひきこえねとちかきたのみはへりつるほとこそあれいとあ
のつねにしもとふらひきこえねとちかきたのみはへりつるほとこそあれいとあ
はれにうしろめたなくなむなとことよかるをさらにうけひきたまはねはあなに
はれにうしろめたなくなむなとことよかるをさらにうけひきたまはねはあなに
くこと〱しや心ひとつにおほしあかるともさるやふはらにとしへ給ふ人を大
くこと〱しや心ひとつにおほしあかるともさるやふはらにとしへ給ふ人を大
将とのもやむことなくしも思ひきこえたまはしなとゑんしうけひけりさるほと
将とのもやむことなくしも思ひきこえたまはしなとゑんしうけひけりさるほと
にけに世中にゆるされ給ひてみやこにかへり給と雨のしたのよろこひにてたち
にけに世中にゆるされ給ひてみやこにかへり給と雨のしたのよろこひにてたち
さはく我もいかて人よりさきにふかき心さしを御らむせられんとのみ思ひきを
さはく我もいかて人よりさきにふかき心さしを御らむせられんとのみ思ひきを
ふおとこ女につけてたかきをもくたれるをも人の心はへをみたまふにあはれに
ふおとこ女につけてたかきをもくたれるをも人の心はへをみたまふにあはれに
おほししることさま〱なりかやうにあはたゝしきほとにさらにおもひいて給
おほししることさま〱なりかやうにあはたゝしきほとにさらにおもひいて給
ふけしきみえてつき日へぬいまはかきりなりけりとしころあらぬさまなる御さ
ふけしきみえてつき日へぬいまはかきりなりけりとしころあらぬさまなる御さ
まをかなしういみしきことを思ひなからもゝえいつるはるにあひ給はなむとね
まをかなしういみしきことを思ひなからもゝえいつるはるにあひ給はなむとね
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しわたりつれとたひしかはらなとまてよろこひおもふなる御くらゐあらたまり
しわたりつれとたひしかはらなとまてよろこひおもふなる御くらゐあらたまり
なとするをよそにのみきくへきなりけりかなしかりしおりのうれはしさはたゝ
なとするをよそにのみきくへきなりけりかなしかりしおりのうれはしさはたゝ
わか身ひとつのためになれるとおほえしかひなきよかなと心くたけてつらくか
わか身ひとつのためになれるとおほえしかひなきよかなと心くたけてつらくか
なしけれは人しれすねをのみなき給ふ大二のきたのかたされはよまさにかくた
なしけれは人しれすねをのみなき給ふ大二のきたのかたされはよまさにかくた
つきなく人わろき御ありさまをかすまへ給ふ人はありなむや仏ひしりもつみか
つきなく人わろき御ありさまをかすまへ給ふ人はありなむや仏ひしりもつみか
ろきをこそみちひきよくしたまふなれかゝる御ありさまにてたけくよをおほし
ろきをこそみちひきよくしたまふなれかゝる御ありさまにてたけくよをおほし
宮うへなとのおはせしときのまゝにならひ給へる御心をこりのいとをしきこと
宮うへなとのおはせしときのまゝにならひ給へる御心をこりのいとをしきこと
ゝいとゝおこかましけに思て猶おもほしたちねよのうきときはみえぬ山ちをこ
ゝいとゝおこかましけに思て猶おもほしたちねよのうきときはみえぬ山ちをこ
そはたつぬなれゐ中なとはむつかしきものとおほしやるらめとひたふるに人わ
そはたつぬなれゐ中なとはむつかしきものとおほしやるらめとひたふるに人わ
ろけにはよもゝてなしきこえしなといとことよくいへはむけにくむしにたる女
ろけにはよもゝてなしきこえしなといとことよくいへはむけにくむしにたる女
はらさもなひき給はなむたけきこともあるましき御身をいかにおほしてかくた
はらさもなひき給はなむたけきこともあるましき御身をいかにおほしてかくた
てたる御心ならむともときつふやく侍従もかの大二のおひたつ人かたらひつき
てたる御心ならむともときつふやく侍従もかの大二のおひたつ人かたらひつき
てとゝむへくもあらさりけれは心よりほかにいてたちてみたてまつりをかんか
てとゝむへくもあらさりけれは心よりほかにいてたちてみたてまつりをかんか
いと心くるしきをとてそゝのかしきこゆれと猶かくかけはなれてひさしうなり
いと心くるしきをとてそゝのかしきこゆれと猶かくかけはなれてひさしうなり
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給ひぬる人にたのみをかけ給御心のうちにさりともありへてもおほしいつるつ
給ひぬる人にたのみをかけ給御心のうちにさりともありへてもおほしいつるつ
いてあらしやはあはれに心ふかき契をしたまひしにわか身はうくてかくわすら
いてあらしやはあはれに心ふかき契をしたまひしにわか身はうくてかくわすら
れたるにこそあれかせのつてにてもわれかくいみしきありさまをきゝつけたま
れたるにこそあれかせのつてにてもわれかくいみしきありさまをきゝつけたま
はゝかならすとふらひいてたまひてんと年ころおほしけれはおほかたの御いへ
はゝかならすとふらひいてたまひてんと年ころおほしけれはおほかたの御いへ
ゐもありしよりけにあさましけれとわか心もてはかなき御てうとゝもなともと
ゐもありしよりけにあさましけれとわか心もてはかなき御てうとゝもなともと
りうしなはせ給はす心つよくおなしさまにてねんしすこし給ふなりけりねなき
りうしなはせ給はす心つよくおなしさまにてねんしすこし給ふなりけりねなき
かちにいとゝおほししつみたるはたゝやま人のあかきこのみひとつをかほには
かちにいとゝおほししつみたるはたゝやま人のあかきこのみひとつをかほには
なたぬとみえ給ふ御そはめなとはおほろけの人のみたてまつりゆるすへきにも
なたぬとみえ給ふ御そはめなとはおほろけの人のみたてまつりゆるすへきにも
あらすかしくはしくはきこえしいとをしうものいひさかなきやうなり冬になり
あらすかしくはしくはきこえしいとをしうものいひさかなきやうなり冬になり
ゆくまゝにいとゝかきつかむかたなくかなしけになかめすこし給ふかの殿には
ゆくまゝにいとゝかきつかむかたなくかなしけになかめすこし給ふかの殿には
こ院の御れうの御八講世中ゆすりてしたまふことにそうなとはなへてのはめさ
こ院の御れうの御八講世中ゆすりてしたまふことにそうなとはなへてのはめさ
すさえすくれをこなひにしみたうときかきりをえらせ給けれはこのせむしの君
すさえすくれをこなひにしみたうときかきりをえらせ給けれはこのせむしの君
まいりたまへりけりかへりさまにたちより給てしかゝ権大納言殿の御八講に
まいりたまへりけりかへりさまにたちより給てしかゝ権大納言殿の御八講に
まいりて侍へるなりいとかしこういける上とのかさりにおとらすいかめしうお
まいりて侍へるなりいとかしこういける上とのかさりにおとらすいかめしうお
Page 528
もしろきことゝものかきりをなむし給つる仏ほさつのへんけの身にこそものし
もしろきことゝものかきりをなむし給つる仏ほさつのへんけの身にこそものし
給めれいつゝのにこりふかきよになとてむまれ給けむといひてやかていて給ひ
給めれいつゝのにこりふかきよになとてむまれ給けむといひてやかていて給ひ
ぬことすくなに世の人にゝぬ御あはひにてかひなき世のものかたりをたにえき
ぬことすくなに世の人にゝぬ御あはひにてかひなき世のものかたりをたにえき
こえあはせ給はすさてもかはかりつたなき身のありさまをあはれにおほつかな
こえあはせ給はすさてもかはかりつたなき身のありさまをあはれにおほつかな
くてすくし給は心うの仏菩薩やとつらうおほゆるをけにかきりなめりとやう
くてすくし給は心うの仏菩薩やとつらうおほゆるをけにかきりなめりとやう
〱思なり給に大弐のきたのかたにはかにきたりれいはさしもむつひぬをさそ
〱思なり給に大弐のきたのかたにはかにきたりれいはさしもむつひぬをさそ
ひたてむの心にてたてまつるへき御そうそくなとてうしてよき車にのりておも
ひたてむの心にてたてまつるへき御そうそくなとてうしてよき車にのりておも
もちけしきほこりかにもの思ひなけなるさましてゆくりもなくはしりきてかと
もちけしきほこりかにもの思ひなけなるさましてゆくりもなくはしりきてかと
あけさするより人わろくさひしきことかきりもなしひたりみきのともみなよろ
あけさするより人わろくさひしきことかきりもなしひたりみきのともみなよろ
ほひたうれにけれはをのこともたすけてとかくあけさはくいつれかこのさひし
ほひたうれにけれはをのこともたすけてとかくあけさはくいつれかこのさひし
きやとにもかならすわけたるあとあなるみつのみちとたとるわつかにみなみを
きやとにもかならすわけたるあとあなるみつのみちとたとるわつかにみなみを
もてのかうしあけたるまによせたれはいとゝはしたなしとおほしたれとあさま
もてのかうしあけたるまによせたれはいとゝはしたなしとおほしたれとあさま
しうすゝけたるき丁さしいてゝ侍従いてきたりかたちなとをとろへにけりとし
しうすゝけたるき丁さしいてゝ侍従いてきたりかたちなとをとろへにけりとし
ころゐたうつゐえたれと猶ものきよけによしあるさましてかたしけなくともと
ころゐたうつゐえたれと猶ものきよけによしあるさましてかたしけなくともと
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りかへつへくみゆいてたちなむことを思ひなから心くるしきありさまのみすて
りかへつへくみゆいてたちなむことを思ひなから心くるしきありさまのみすて
たてまつりかたきをしゝうのむかへになむまゐりきたる心うくおほしへたてゝ
たてまつりかたきをしゝうのむかへになむまゐりきたる心うくおほしへたてゝ
御身つからこそあからさまにもわたらせ給はねこの人をたにゆるさせ給へとて
御身つからこそあからさまにもわたらせ給はねこの人をたにゆるさせ給へとて
なむなとかうあはれけなるさまにはとてうちもなくへきそかしされとゆくみち
なむなとかうあはれけなるさまにはとてうちもなくへきそかしされとゆくみち
に心をやりていと心ちよけなりこ宮おはせしときをのれをはおもてふせなりと
に心をやりていと心ちよけなりこ宮おはせしときをのれをはおもてふせなりと
おほしすてたりしかはうと〱しきやうになりそめにしかとゝしころもなにか
おほしすてたりしかはうと〱しきやうになりそめにしかとゝしころもなにか
はやむことなきさまにおほしあかり大将殿なとおはしましかよふ御すくせのほ
はやむことなきさまにおほしあかり大将殿なとおはしましかよふ御すくせのほ
とをかたしけなく思ひ給へられしかはなむゝつひきこえさせんもはゝかること
とをかたしけなく思ひ給へられしかはなむゝつひきこえさせんもはゝかること
おほくてすくしはむへるを世中のかくさためもなかりけれはかすならぬ身はな
おほくてすくしはむへるを世中のかくさためもなかりけれはかすならぬ身はな
か〱心やすく侍ものなりけりをよひなくみたてまつりし御ありさまのいとか
か〱心やすく侍ものなりけりをよひなくみたてまつりし御ありさまのいとか
なしく心くるしきをちかきほとはをこたるおりものとかにたのもしくなむはへ
なしく心くるしきをちかきほとはをこたるおりものとかにたのもしくなむはへ
りけるをかくはるかにまかりなむとすれはうしろめたくあはれになむおほえ給
りけるをかくはるかにまかりなむとすれはうしろめたくあはれになむおほえ給
ふなとかたらへと心とけてもいらへ給はすいとうれしきことなれとよににぬさ
ふなとかたらへと心とけてもいらへ給はすいとうれしきことなれとよににぬさ
まにてなにかはかうなからこそくちもうせめとなむ思はへるとのみのたまへは
まにてなにかはかうなからこそくちもうせめとなむ思はへるとのみのたまへは
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けにしかなむおほさるへけれといける身をすてかくむくつけきすまひするたく
けにしかなむおほさるへけれといける身をすてかくむくつけきすまひするたく
ひははへらすやあらむ大将殿のつくりみかき給はむにこそはひきかへたまのう
ひははへらすやあらむ大将殿のつくりみかき給はむにこそはひきかへたまのう
てなにもなりかへらめとはたのもしうははへれとたゝいまは式部卿の宮の御む
てなにもなりかへらめとはたのもしうははへれとたゝいまは式部卿の宮の御む
すめよりほかに心わけ給ふかたもなかなりむかしよりすき〱しき御心にてな
すめよりほかに心わけ給ふかたもなかなりむかしよりすき〱しき御心にてな
をさりにかよひ給ひけるところ〱みなおほしはなれにたなりましてかうもの
をさりにかよひ給ひけるところ〱みなおほしはなれにたなりましてかうもの
はかなきさまにてやふはらにすくし給へる人をは心きよくわれをたのみ給へる
はかなきさまにてやふはらにすくし給へる人をは心きよくわれをたのみ給へる
ありさまとたつねきこえたまふ事いとかたくなむあるへきなといひしらするを
ありさまとたつねきこえたまふ事いとかたくなむあるへきなといひしらするを
けにとおほすもいとかなしくてつく〱となき給されとうこくへうもあらねは
けにとおほすもいとかなしくてつく〱となき給されとうこくへうもあらねは
よろつにいひわつらひくらしてさらは侍従をたにと日のくるゝまゝにいそけは
よろつにいひわつらひくらしてさらは侍従をたにと日のくるゝまゝにいそけは
心あはたゝしくてなく〱さらはまつけふはかうせめ給ふをくりはかりにまう
心あはたゝしくてなく〱さらはまつけふはかうせめ給ふをくりはかりにまう
てはへらむかのきこえ給ふもことはりなりまたおほしわつらふもさることには
てはへらむかのきこえ給ふもことはりなりまたおほしわつらふもさることには
へれは中にみたまふるも心くるしくなむとしのひてきこゆこの人さへうちすて
へれは中にみたまふるも心くるしくなむとしのひてきこゆこの人さへうちすて
ゝむとするをうらめしうもあはれにもおほせといひとゝむへきかたもなくてい
ゝむとするをうらめしうもあはれにもおほせといひとゝむへきかたもなくてい
とゝねをのみたけきことにてものし給ふかたみにそへ給ふへきみなれ衣もしほ
とゝねをのみたけきことにてものし給ふかたみにそへ給ふへきみなれ衣もしほ
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なれたれはとしへぬるしるしみせ給ふへきものなくてわか御くしのおちたりけ
なれたれはとしへぬるしるしみせ給ふへきものなくてわか御くしのおちたりけ
るをとりあつめてかつらにしたまへるか九尺よはかりにていときよらなるをお
るをとりあつめてかつらにしたまへるか九尺よはかりにていときよらなるをお
かしけなるはこにいれてむかしのくのえかうのいとかうはしきひとつほくして
かしけなるはこにいれてむかしのくのえかうのいとかうはしきひとつほくして
給ふ
給ふ
たゆましきすちをたのみし玉かつら思ひのほかにかけはなれぬるこまゝの
たゆましきすちをたのみし玉かつら思ひのほかにかけはなれぬるこまゝの
ゝ給ひをきしこともありしかはかひなき身なりともみはてゝむとこそ思ひつれ
ゝ給ひをきしこともありしかはかひなき身なりともみはてゝむとこそ思ひつれ
うちすてらるゝもことはりなれとたれにみゆつりてかとうらめしうなむとてい
うちすてらるゝもことはりなれとたれにみゆつりてかとうらめしうなむとてい
みしうない給ふこの人もゝのもきこえやらすまゝのゆいこむはさらにもきこえ
みしうない給ふこの人もゝのもきこえやらすまゝのゆいこむはさらにもきこえ
させすとしころのしのひかたきよのうさをすくしはへりつるにかくおほえぬみ
させすとしころのしのひかたきよのうさをすくしはへりつるにかくおほえぬみ
ちにいさなはれてはるかにまかりあくかるゝことゝて
ちにいさなはれてはるかにまかりあくかるゝことゝて
玉かつらたえてもやましゆくみちのたむけの神もかけてちかはむいのちこ
玉かつらたえてもやましゆくみちのたむけの神もかけてちかはむいのちこ
そしりはへらねなといふにいつらくらうなりぬとつふやかれて心も空にてひき
そしりはへらねなといふにいつらくらうなりぬとつふやかれて心も空にてひき
いつれはかへりみのみせられけるとしころわひつゝもゆきはなれさりつる人の
いつれはかへりみのみせられけるとしころわひつゝもゆきはなれさりつる人の
かくわかれぬることをいと心ほそうおほすによにもちゐらるましきおい人さへ
かくわかれぬることをいと心ほそうおほすによにもちゐらるましきおい人さへ
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ゐてやことはりそいかてかたちとまり給はむわれらもえこそねむしはつましけ
ゐてやことはりそいかてかたちとまり給はむわれらもえこそねむしはつましけ
れとをのかみゝにつけたるたよりとも思いてゝとまるましう思へるを人わろく
れとをのかみゝにつけたるたよりとも思いてゝとまるましう思へるを人わろく
きゝおはすしもつきはかりになれはゆきあられかちにてほかにはきゆるまもあ
きゝおはすしもつきはかりになれはゆきあられかちにてほかにはきゆるまもあ
るをあさひゆふひをふせくよもきむくらのかけにふかうつもりてこしのしら山
るをあさひゆふひをふせくよもきむくらのかけにふかうつもりてこしのしら山
思ひやらるゝ雪のうちにいているしも人たになくてつれ〱となかめ給ふはか
思ひやらるゝ雪のうちにいているしも人たになくてつれ〱となかめ給ふはか
なきことをきこえなくさめなきみわらひみまきらはしつる人さへなくてよるも
なきことをきこえなくさめなきみわらひみまきらはしつる人さへなくてよるも
ちりかましき御丁のうちもかたはらさひしくものかなしくおほさるかのとのに
ちりかましき御丁のうちもかたはらさひしくものかなしくおほさるかのとのに
はめつらしひとにいとゝものさはかしき御ありさまにていとやむことなくおほ
はめつらしひとにいとゝものさはかしき御ありさまにていとやむことなくおほ
されぬところ〱にはわさともえをとつれ給はすましてその人はまたよにやお
されぬところ〱にはわさともえをとつれ給はすましてその人はまたよにやお
はすらむとはかりおほしいつるおりもあれとたつね給ふへき御心さしもいそか
はすらむとはかりおほしいつるおりもあれとたつね給ふへき御心さしもいそか
てありふるにとしかはりぬう月はかりに花ちるさとを思いてきこえ給ひてしの
てありふるにとしかはりぬう月はかりに花ちるさとを思いてきこえ給ひてしの
ひてたいのうへに御いとまきこえていて給ふひころふりつるなこりの雨います
ひてたいのうへに御いとまきこえていて給ふひころふりつるなこりの雨います
こしそゝきておかしきほとに月さしいてたりむかしの御ありきおほしいてられ
こしそゝきておかしきほとに月さしいてたりむかしの御ありきおほしいてられ
てえんなる程のゆふつくよにみちのほとよろつの事おほしいてゝおはするにか
てえんなる程のゆふつくよにみちのほとよろつの事おほしいてゝおはするにか
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たもなくあれたるいへのこたちしけくもりのやうなるをすき給ふおほきなる松
たもなくあれたるいへのこたちしけくもりのやうなるをすき給ふおほきなる松
にふちのさきかゝりてつきかけになよひたるかせにつきてさとにほふかなつか
にふちのさきかゝりてつきかけになよひたるかせにつきてさとにほふかなつか
しくそこはかとなきかほりなりたちはなにかはりておかしけれはさしいて給へ
しくそこはかとなきかほりなりたちはなにかはりておかしけれはさしいて給へ
るにやなきもいたうしたりてついひちもさはらねはみたれふしたりみし心ちす
るにやなきもいたうしたりてついひちもさはらねはみたれふしたりみし心ちす
るこたちかなとおほすはゝやうこの宮なりけりいとあはれにてをしとゝめさせ
るこたちかなとおほすはゝやうこの宮なりけりいとあはれにてをしとゝめさせ
給れいのこれみつはかゝる御しのひありきにをくれねはさふらひけりめしよせ
給れいのこれみつはかゝる御しのひありきにをくれねはさふらひけりめしよせ
てこゝはひたちの宮そかしなしか侍ときこゆこゝにありし人はまたやなかむら
てこゝはひたちの宮そかしなしか侍ときこゆこゝにありし人はまたやなかむら
んとふらふへきをわさとものせむもところせしかゝるついてにいりてせうそこ
んとふらふへきをわさとものせむもところせしかゝるついてにいりてせうそこ
せよよくたつね入てをうちいてよ人たかへしてはおこならむとの給こゝにはい
せよよくたつね入てをうちいてよ人たかへしてはおこならむとの給こゝにはい
とゝなかめまさるころにてつく〱とおはしけるにひるねのゆめにこ宮のみえ
とゝなかめまさるころにてつく〱とおはしけるにひるねのゆめにこ宮のみえ
給ひけれはさめていとなこりかなしくおほしてもりぬれたるひさしのはしつか
給ひけれはさめていとなこりかなしくおほしてもりぬれたるひさしのはしつか
たをしのこはせてこゝかしこのおましひきつくろはせなとしつゝれいならすよ
たをしのこはせてこゝかしこのおましひきつくろはせなとしつゝれいならすよ
つき給ひて
つき給ひて
なき人をこふるたもとのひまなきにあれたるのきのしつくさへそふも心く
なき人をこふるたもとのひまなきにあれたるのきのしつくさへそふも心く
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るしきほとになむありけるこれみつ入てめくる〱人のをとするかたやとみる
るしきほとになむありけるこれみつ入てめくる〱人のをとするかたやとみる
にいさゝかの人けもせすされはこそゆきゝのみちにみいるれと人すみけもなき
にいさゝかの人けもせすされはこそゆきゝのみちにみいるれと人すみけもなき
ものをと思てかへりまいる程に月あかくさしいてたるにみれはかうしふたまは
ものをと思てかへりまいる程に月あかくさしいてたるにみれはかうしふたまは
かりあけてすたれうこくけしきなりわつかにみつけたる心ちおそろしくさへお
かりあけてすたれうこくけしきなりわつかにみつけたる心ちおそろしくさへお
ほゆれとよりてこわつくれはいとものふりたるこゑにてまつしはふきをさきに
ほゆれとよりてこわつくれはいとものふりたるこゑにてまつしはふきをさきに
たてゝかれはたれそなに人そとゝふなのりして侍従の君ときこえし人にたいめ
たてゝかれはたれそなに人そとゝふなのりして侍従の君ときこえし人にたいめ
ん給はらむといふそれはほかになんものし給ふされとおほしわくましき女なむ
ん給はらむといふそれはほかになんものし給ふされとおほしわくましき女なむ
侍といふこゑいたうねひすきたれときゝしおゐ人ときゝしりたりうちには思ひ
侍といふこゑいたうねひすきたれときゝしおゐ人ときゝしりたりうちには思ひ
もよらすかりきぬすかたなるおとこしのひやかにもてなしなこやかなれはみな
もよらすかりきぬすかたなるおとこしのひやかにもてなしなこやかなれはみな
らはすなりにけるめにてもしきつねなとのへんけにやとおほゆれとちかうより
らはすなりにけるめにてもしきつねなとのへんけにやとおほゆれとちかうより
てたしかになむうけ給はらまほしきかはらぬ御ありさまならはたつねきこえさ
てたしかになむうけ給はらまほしきかはらぬ御ありさまならはたつねきこえさ
せ給へき御心さしもたえすなむおはしますめるかしこよひもゆきすきかてにと
せ給へき御心さしもたえすなむおはしますめるかしこよひもゆきすきかてにと
まらせ給へるをいかゝきこえさせむうしろやすくをといへは女ともうちわらひ
まらせ給へるをいかゝきこえさせむうしろやすくをといへは女ともうちわらひ
てかはらせ給御ありさまならはかゝるあさちかはらをうつろひ給はてはゝへり
てかはらせ給御ありさまならはかゝるあさちかはらをうつろひ給はてはゝへり
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なんやたゝをしはかりてきこえさせ給へかしとしへたる人の心にもたくひあら
なんやたゝをしはかりてきこえさせ給へかしとしへたる人の心にもたくひあら
しとのみめつらかなるよをこそはみたてまつりすこしはへるとやゝくつしいて
しとのみめつらかなるよをこそはみたてまつりすこしはへるとやゝくつしいて
ゝとはすかたりもしつへきかむつかしけれはよし〱まつかくなむきこえさせ
ゝとはすかたりもしつへきかむつかしけれはよし〱まつかくなむきこえさせ
んとてまいりぬなとかいとひさしかりつるいかにそむかしのあともみえぬよも
んとてまいりぬなとかいとひさしかりつるいかにそむかしのあともみえぬよも
きのしけさかなとの給へはしか〱なむたとりよりてはへりつる侍従かをはの
きのしけさかなとの給へはしか〱なむたとりよりてはへりつる侍従かをはの
少将とゐひはへりしおい人なんかはらぬこゑにてはへりつるとありさまきこゆ
少将とゐひはへりしおい人なんかはらぬこゑにてはへりつるとありさまきこゆ
いみしうあはれにかゝるしけきなかになに心ちしてすくし給ふらむいまゝてと
いみしうあはれにかゝるしけきなかになに心ちしてすくし給ふらむいまゝてと
はさりけるよとわか御心のなさけなさもおほししらるいかゝすへきかゝるしの
はさりけるよとわか御心のなさけなさもおほししらるいかゝすへきかゝるしの
ひあるきもかたかるへきをかゝるついてならてはえたちよらしかはらぬありさ
ひあるきもかたかるへきをかゝるついてならてはえたちよらしかはらぬありさ
まならはけにさこそはあらめとをしはからるゝ人さまになむとはのたまひなか
まならはけにさこそはあらめとをしはからるゝ人さまになむとはのたまひなか
らふといり給はむ事猶つゝましうおほさるゆへある御せうそこもいときこえま
らふといり給はむ事猶つゝましうおほさるゆへある御せうそこもいときこえま
ほしけれとみたまひしほとのくちをそさもまたかはらすは御つかひのたちわつ
ほしけれとみたまひしほとのくちをそさもまたかはらすは御つかひのたちわつ
らはむもいとをしうおほしとゝめつこれみつもさらにえわけさせ給ふましきよ
らはむもいとをしうおほしとゝめつこれみつもさらにえわけさせ給ふましきよ
もきの露けさになむはへる露すこしはらはせてなむいらせ給ふへきときこゆれ
もきの露けさになむはへる露すこしはらはせてなむいらせ給ふへきときこゆれ
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は
は
たつねてもわれこそとはめみちもなくふかきよもきのもとの心をとひとり
たつねてもわれこそとはめみちもなくふかきよもきのもとの心をとひとり
こちて猶をり給へは御さきの露をむまのむちしてはらひつゝいれたてまつるあ
こちて猶をり給へは御さきの露をむまのむちしてはらひつゝいれたてまつるあ
まそゝきも猶秋のしくれめきてうちそそけは御かささふらふけにこのした露は
まそゝきも猶秋のしくれめきてうちそそけは御かささふらふけにこのした露は
あめにまさりてときこゆ御さしぬきのすそはいたうそをちぬめりむかしたにあ
あめにまさりてときこゆ御さしぬきのすそはいたうそをちぬめりむかしたにあ
るかなきかなりし中門なとましてかたもなくなりていり給ふにつけてもいとむ
るかなきかなりし中門なとましてかたもなくなりていり給ふにつけてもいとむ
とくなるをたちましりみる人なきそ心やすかりけるひめ君はさりともとまちす
とくなるをたちましりみる人なきそ心やすかりけるひめ君はさりともとまちす
くし給へる心もしるくうれしけれといとはつかしき御ありさまにてたいめむせ
くし給へる心もしるくうれしけれといとはつかしき御ありさまにてたいめむせ
んもいとつゝましくおほしたり大二のきたのかたのたてまつりをきし御そとも
んもいとつゝましくおほしたり大二のきたのかたのたてまつりをきし御そとも
をも心ゆかすおほされしゆかりにみいれたまはさりけるをこの人〱のかうの
をも心ゆかすおほされしゆかりにみいれたまはさりけるをこの人〱のかうの
御からひつにいれたりけるかいとなつかしきかしたるをたてまつりけれはいか
御からひつにいれたりけるかいとなつかしきかしたるをたてまつりけれはいか
ゝはせむにきかへ給ひてかのすゝけたる御き丁ひきよせておはすいり給てとし
ゝはせむにきかへ給ひてかのすゝけたる御き丁ひきよせておはすいり給てとし
ころのへたてにも心はかりはかはらすなん思ひやりきこえつるをさしもおとろ
ころのへたてにも心はかりはかはらすなん思ひやりきこえつるをさしもおとろ
かい給はぬうらめしさにいまゝて心みきこえつるをすきならぬこたちのしるさ
かい給はぬうらめしさにいまゝて心みきこえつるをすきならぬこたちのしるさ
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にえすきてなむまけきこえにけるとてかたひらをすこしかきやり給へれはれい
にえすきてなむまけきこえにけるとてかたひらをすこしかきやり給へれはれい
のいとつゝましけにとみにもいらへきこえ給はすかくはかりわけいり給へるか
のいとつゝましけにとみにもいらへきこえ給はすかくはかりわけいり給へるか
あさからぬに思おこしてそほのかにきこえいて給けるかゝる草かくれにすくし
あさからぬに思おこしてそほのかにきこえいて給けるかゝる草かくれにすくし
給ひけるとし月のあはれもをろかならすまたかはらぬ心ならひに人の御心のう
給ひけるとし月のあはれもをろかならすまたかはらぬ心ならひに人の御心のう
ちもたとりしらすなからわけいりはへりつる露けさなとをいかゝおほすとしこ
ちもたとりしらすなからわけいりはへりつる露けさなとをいかゝおほすとしこ
ろのをこたりはたなへてのよにおほしゆるすらむいまよりのちの御心にかなは
ろのをこたりはたなへてのよにおほしゆるすらむいまよりのちの御心にかなは
さらむなんいひしにたかうつみもおうへきなとさしもおほされぬこともなさけ
さらむなんいひしにたかうつみもおうへきなとさしもおほされぬこともなさけ
なさけしうきこえなし給ふことともあへめりたちとゝまり給はむもところのさ
なさけしうきこえなし給ふことともあへめりたちとゝまり給はむもところのさ
まよりはしめまはゆき御ありさまなれはつき〱しうのたまひすくしていて給
まよりはしめまはゆき御ありさまなれはつき〱しうのたまひすくしていて給
ひなむとすひきうえしならねとまつのこたかくなりにけるとし月のほともあは
ひなむとすひきうえしならねとまつのこたかくなりにけるとし月のほともあは
れに夢のやうなる御身のありさまもおほしつゝけらる
れに夢のやうなる御身のありさまもおほしつゝけらる
ふちなみのうちすきかたくみえつるはまつこそやとのしるしなりけれかそ
ふちなみのうちすきかたくみえつるはまつこそやとのしるしなりけれかそ
ふれはこよなうつもりぬらむかしみやこにかはりにけることのおほかりけるも
ふれはこよなうつもりぬらむかしみやこにかはりにけることのおほかりけるも
さま〱あはれになむいまのとかにそひなのわかれにおとろへしよのものかた
さま〱あはれになむいまのとかにそひなのわかれにおとろへしよのものかた
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りもきこえつくすへきとしへたまへらむ春秋のくらしかたさなともたれにかは
りもきこえつくすへきとしへたまへらむ春秋のくらしかたさなともたれにかは
うれへ給はむとうらもなくおほゆるもかつはあやしうなむなときこえ給へは
うれへ給はむとうらもなくおほゆるもかつはあやしうなむなときこえ給へは
としをへてまつしるしなきわかやとを花のたよりにすきぬはかりかとしの
としをへてまつしるしなきわかやとを花のたよりにすきぬはかりかとしの
ひやかにうちみしろき給へるけはひも袖のかもむかしよりはねひまさり給へる
ひやかにうちみしろき給へるけはひも袖のかもむかしよりはねひまさり給へる
にやとおほさる月入かたになりてにしのつまとのあきたるよりさはるへきわた
にやとおほさる月入かたになりてにしのつまとのあきたるよりさはるへきわた
とのたつやもなくのきのつまものこりなけれはいと花やかにさしいりたれはあ
とのたつやもなくのきのつまものこりなけれはいと花やかにさしいりたれはあ
たりあたりみゆるにむかしにかはらぬ御しつらひのさまなと忍草にやつれたる
たりあたりみゆるにむかしにかはらぬ御しつらひのさまなと忍草にやつれたる
うへのみるめよりはみやひかにみゆるをむかしものかたりに塔こほちたる人も
うへのみるめよりはみやひかにみゆるをむかしものかたりに塔こほちたる人も
ありけるをおほしあはするにおなしさまにてとしふりにけるもあはれなりひた
ありけるをおほしあはするにおなしさまにてとしふりにけるもあはれなりひた
ふるにものつゝみしたるけはひのさすかにあてやかなるも心にくゝおほされて
ふるにものつゝみしたるけはひのさすかにあてやかなるも心にくゝおほされて
さるかたにてわすれしと心くるしく思ひしをとしころさま〱のものおもひに
さるかたにてわすれしと心くるしく思ひしをとしころさま〱のものおもひに
ほれ〱しくてへたてつるほとつらしとおもはれつらむといとをしくおほすか
ほれ〱しくてへたてつるほとつらしとおもはれつらむといとをしくおほすか
の花ちるさともあさやかにいまめかしうなとはゝなやき給はぬところにて御め
の花ちるさともあさやかにいまめかしうなとはゝなやき給はぬところにて御め
うつしこよなからぬにとかおほうかくれにけりまつりこけいなとのほと御いそ
うつしこよなからぬにとかおほうかくれにけりまつりこけいなとのほと御いそ
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きともにことつけて人のたてまつりたるもの色〱におほかるをさるへきかき
きともにことつけて人のたてまつりたるもの色〱におほかるをさるへきかき
り御心くはへ給ふ中にもこの宮にはこまやかにおほしよりてむつましき人〱
り御心くはへ給ふ中にもこの宮にはこまやかにおほしよりてむつましき人〱
におほせ事給ひしもへともなとつかはしてよもきはらはせめくりのみくるしき
におほせ事給ひしもへともなとつかはしてよもきはらはせめくりのみくるしき
にいたかきといふものうちかためつくろはせ給ふかうたつねいて給へりときゝ
にいたかきといふものうちかためつくろはせ給ふかうたつねいて給へりときゝ
つたへんにつけてもわか御ためゝむほくなけれはわたり給事はなし御ふみいと
つたへんにつけてもわか御ためゝむほくなけれはわたり給事はなし御ふみいと
こまやかにかき給ひて二条院ちかきところをつくらせ給ふをそこになむわたし
こまやかにかき給ひて二条院ちかきところをつくらせ給ふをそこになむわたし
たてまつるへきよろしきわらはへなともとめさふらはせたまへなと人〱のう
たてまつるへきよろしきわらはへなともとめさふらはせたまへなと人〱のう
へまておほしやりつゝとふらひきこえ給へはかくあやしきよもきのもとにはを
へまておほしやりつゝとふらひきこえ給へはかくあやしきよもきのもとにはを
きところなきまて女はらも空をあふきてなむそなたにむきてよろこひきこえけ
きところなきまて女はらも空をあふきてなむそなたにむきてよろこひきこえけ
るなけの御すさひにてもをしなへたるよのつねの人をはめとゝめみみたて給は
るなけの御すさひにてもをしなへたるよのつねの人をはめとゝめみみたて給は
す世にすこしこれはとおもほへこゝちにとまるふしあるあたりをたつねより給
す世にすこしこれはとおもほへこゝちにとまるふしあるあたりをたつねより給
ふものと人のしりたるにかくひきたかへなに事もなのめにたにあらぬ御ありさ
ふものと人のしりたるにかくひきたかへなに事もなのめにたにあらぬ御ありさ
まをものめかしいて給ふはいかなりける御心にかありけむこれもむかしのちき
まをものめかしいて給ふはいかなりける御心にかありけむこれもむかしのちき
りなめりかしいまはかきりとあなつりはてゝさま〱にまよひちりあかれしう
りなめりかしいまはかきりとあなつりはてゝさま〱にまよひちりあかれしう
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へしもの人〱われも〱まいらむとあらそひいつる人もあり心はへなとはた
へしもの人〱われも〱まいらむとあらそひいつる人もあり心はへなとはた
むもれいたきまてよくおはする御ありさまに心やすくならひてことなることな
むもれいたきまてよくおはする御ありさまに心やすくならひてことなることな
きなます両なとやうのいへにある人はならはすはしたなき心ちするもありてう
きなます両なとやうのいへにある人はならはすはしたなき心ちするもありてう
ちつけの心みえにまいりかへり君はいにしへにもまさりたる御いきをいのほと
ちつけの心みえにまいりかへり君はいにしへにもまさりたる御いきをいのほと
にてものゝおもひやりもましてそひ給ひにけれはこまやかにおほしをきてたる
にてものゝおもひやりもましてそひ給ひにけれはこまやかにおほしをきてたる
ににほひいてゝ宮のうちやう〱人めみえきくさのはもたゝすこくあはれにみ
ににほひいてゝ宮のうちやう〱人めみえきくさのはもたゝすこくあはれにみ
えなされしをやり水かきはらひせむさいのもとたちもすゝしうしなしなとして
えなされしをやり水かきはらひせむさいのもとたちもすゝしうしなしなとして
ことなるおほえなきしもけいしのことにつかへまほしきはかく御心とゝめてお
ことなるおほえなきしもけいしのことにつかへまほしきはかく御心とゝめてお
ほさるゝ事なめりとみとりて御けしき給はりつゝついせうしつかうまつるふた
ほさるゝ事なめりとみとりて御けしき給はりつゝついせうしつかうまつるふた
とせはかりこのふる宮になかめ給てひんかしの院といふところになむ後はわた
とせはかりこのふる宮になかめ給てひんかしの院といふところになむ後はわた
したてまつり給けるたいめんし給ふ事なとはいとかたけれとちかきしめのほと
したてまつり給けるたいめんし給ふ事なとはいとかたけれとちかきしめのほと
にておほかたにもわたり給にさしのそきなとし給ひつゝいとあなつらはしけに
にておほかたにもわたり給にさしのそきなとし給ひつゝいとあなつらはしけに
もてなしきこえたまはすかの大二のきたのかたのほりておとろきおもへるさま
もてなしきこえたまはすかの大二のきたのかたのほりておとろきおもへるさま
侍従かうれしきものゝいましはしまちきこえさりける心あさゝをはつかしう思
侍従かうれしきものゝいましはしまちきこえさりける心あさゝをはつかしう思
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へるほとなとをいますこしとはすかたりもせましけれといとかしらいたううる
へるほとなとをいますこしとはすかたりもせましけれといとかしらいたううる
さくものうけれはなむいまゝたもついてあらむおりに思いてゝきこゆへきとそ
さくものうけれはなむいまゝたもついてあらむおりに思いてゝきこゆへきとそ